透析患者の夢
私は都内のとあるクルーズ系の旅行会社に勤務をしています。「世界一周クルーズ」という人の人生の大きな夢である特別な旅行を手がけています。私のお客さんで透析により長年の夢であった世界一周を諦めざるを得ない人がいました。数年前から問い合わせをくれて「もう少しで定年だから、そしたら行く」と言い続けていた人で、その時が来ていざ申し込みをしました。手続きを進めていきながら期待と楽しみな気持ちをどんどん大きくしていきました。
透析患者の夢の実現
そして出発前の健康診断で人工透析が必要なことがわかりました。クルーズ旅行に透析機を持ち込むことはできず、船内の医務室にも透析機を完備していないことから「クルーズをとるか命をとるか」という選択に迫られ、その人はずっと抱えてきた人生の夢を捨てざるを得ない状況になりました。泣きながら悔しがっているその方を見て、透析というのは人の夢や期待なども一瞬で奪ってしまうほどの重大な状況だということを感じました。