打撲は、外部からの直接的な衝撃によって、皮膚や皮下組織、筋肉などが損傷を受ける状態です。その症状は、打撲の強さや部位によって様々ですが、一般的には以下のようなものが現れます。まず、最も代表的な症状は痛みです。打撲した直後から強い痛みを感じることが多く、押したり動かしたりすると痛みが増強します。次に、腫れ(腫脹)です。損傷した組織から体液が染み出たり、内出血が起こったりすることで、打撲した部分が腫れ上がります。腫れは、打撲後数時間から数日でピークに達することが多いです。そして、内出血(皮下出血)もよく見られる症状です。毛細血管が破れて皮膚の下に血液が溜まることで、最初は赤紫色、時間とともに青紫色、緑色、黄色へと色が変化しながら徐々に吸収されていきます。これを一般的に「あおたん」や「青あざ」と呼びます。また、打撲した部位の熱感や、動かしにくさ(機能障害)が現れることもあります。例えば、足を打撲すれば歩きにくくなったり、腕を打撲すれば物を持ち上げにくくなったりします。整形外科では、これらの症状や打撲の状況を詳しく聞き取った上で、視診と触診を行います。視診では、腫れや内出血の範囲、変形の有無などを確認します。触診では、圧痛(押したときの痛み)の部位や程度、関節の不安定性などがないかを調べます。そして、骨折や脱臼、靭帯損傷といった他の外傷との鑑別が重要となるため、多くの場合、レントゲン(X線)検査が行われます。レントゲン検査では、骨に異常がないかを確認します。もし、レントゲン検査だけでは判断が難しい場合や、軟部組織(筋肉や靭帯など)の損傷が疑われる場合には、超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査といったより精密な画像検査が追加されることもあります。これらの診察と検査結果を総合的に判断し、医師は打撲の重症度を評価し、適切な治療方針を決定します。
打撲の症状と整形外科での診断の流れ