水疱瘡のつらいかゆみを和らげるために、様々なかゆみ止めが用いられます。市販薬と処方薬、それぞれどのような種類があり、どのように使い分けるべきなのでしょうか。まず、市販薬としてよく知られているのが、「カチリ(フェノール・亜鉛華リニメント)」です。これは、白い泥状の塗り薬で、患部に塗布すると水分が蒸発する際に清涼感が得られ、また、皮膚を乾燥させる作用があるため、水疱がジクジクしている時期のかゆみ緩和に効果的です。ただし、広範囲に塗ると皮膚が乾燥しすぎたり、衣類が白くなったりすることがあります。また、抗ヒスタミン成分や局所麻酔成分が配合された市販の塗り薬もあります。これらは、かゆみの原因となるヒスタミンの働きを抑えたり、知覚神経を麻痺させたりすることで、かゆみを軽減します。しかし、市販薬はあくまで対症療法であり、水疱瘡そのものを治療するものではありません。特に、乳幼児やアレルギー体質の方、広範囲に症状が出ている場合は、自己判断で使用せず、必ず医師の診察を受けることが重要です。医療機関では、症状の程度や年齢に応じて、より効果的なかゆみ止めが処方されます。塗り薬としては、抗ヒスタミン薬や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の軟膏、あるいは炎症が強い場合には弱いステロイド軟膏が処方されることもあります。ステロイド軟膏は効果が高い反面、副作用のリスクもあるため、医師の指示通りに適切な期間、適切な量を使用することが不可欠です。また、内服薬として、抗ヒスタミン薬が処方されることが一般的です。これは、体内でヒスタミンの働きをブロックすることで、全身のかゆみを抑える効果があります。眠気が出やすいタイプの薬もあるため、服用後の車の運転などには注意が必要です。水疱瘡の治療の基本は、抗ウイルス薬の内服(発症早期に開始することが重要)ですが、かゆみに対しては、これらの塗り薬や内服薬を適切に組み合わせることで、症状をコントロールしていきます。