子どもは、免疫機能が未熟であることや、集団生活を送る機会が多いことから、感染性胃腸炎に非常にかかりやすいです。特に、ロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどが原因のウイルス性胃腸炎は、保育園や幼稚園、学校で毎年のように流行を繰り返します。子どもの胃腸炎で最も注意すべき点は、大人に比べてはるかに「脱水症状」に陥りやすいということです。子どもは体内の水分量が占める割合が大人より多く、嘔吐や下痢によって水分が失われると、体のバランスが急激に崩れてしまいます。そのため、お子さんが嘔吐や下痢を繰り返す場合は、迷わずかかりつけの「小児科」を受診してください。小児科医は、子どもの体重や皮膚の状態、おしっこの回数などから脱水症状の程度を正確に評価し、適切な対応を指導してくれます。小児科での治療の基本は、経口補水療法です。これは、水分と電解質(ナトリウムやカリウムなど)がバランス良く配合された「経口補水液」を、少量ずつ、頻回に飲ませる方法です。一度にたくさん飲ませると吐き気を誘発してしまうため、ティースプーンやスポイトを使い、5分おきに数mlずつ、根気よく与えるのがコツです。母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんの場合は、そのまま続けて問題ありません。家庭での食事は、症状が落ち着いてきたら、おかゆやうどん、すりおろしたリンゴなど、消化の良いものから少しずつ再開します。一方で、ぐったりしていて水分が全く摂れない、おしっこが半日以上出ていない、唇がカサカサに乾いている、泣いても涙が出ないといった症状は、中等度以上の脱水のサインです。このような場合は、点滴による水分補給が必要となるため、夜間や休日であっても、救急外来を受診する必要があります。また、血便が続く、激しい腹痛で泣きやまない、といった場合も、腸重積などの重篤な病気の可能性も考えられるため、すぐに医療機関を受診してください。子どもの胃腸炎は、親の冷静な観察と、小児科医との連携が何よりも大切です。
子どもの胃腸炎、小児科受診の重要性と家庭でのケア