閃輝暗点というと、大人の片頭痛の前兆というイメージが強いかもしれませんが、実は子どもにも起こり得る症状です。ただし、子どもは自分の症状をうまく言葉で表現できなかったり、大人とは症状の現れ方が異なったりすることがあるため、周囲の大人が注意深く観察することが大切です。子どもが「目の前にキラキラしたものが見える」「ギザギザの光が見える」「テレビの砂嵐みたいのが見える」といった訴えをしたり、一時的に物が見えにくそうにしたり、目をこすったりするような仕草が見られたら、閃輝暗点の可能性も考慮に入れる必要があります。子どもの場合、閃輝暗点の後に必ずしも典型的な片頭痛の頭痛発作が起こるとは限りません。腹痛や嘔吐といった消化器症状が前面に出る「腹部片頭痛」や、めまいやふらつきが主な症状となる「良性発作性めまい」といった、片頭痛の特殊なタイプの前兆として閃輝暗点が現れることもあります。また、大人に比べて閃輝暗点の持続時間が短い傾向があるとも言われています。子どもが閃輝暗点のような症状を訴えた場合、まず受診を検討すべき診療科は小児科です。小児科医は、子どもの成長発達全般を理解しており、閃輝暗点だけでなく、他の小児特有の疾患(例えば、てんかんの一部や、稀ですが脳腫瘍など)との鑑別も含めて総合的に診察してくれます。症状や診察所見から、より専門的な検査や治療が必要と判断された場合には、小児神経科を紹介されることもあります。眼科的な問題が疑われる場合には、小児眼科の受診も考慮されます。診察の際には、いつから、どのような光が見えるのか、どのくらいの時間続くのか、その後に頭痛や腹痛、吐き気などの症状があるか、誘因となりそうなこと(例えば、寝不足やストレス、特定の食べ物など)はあるかなどを、できるだけ詳しく医師に伝えることが大切です。子どもの訴えを真摯に受け止め、不安な場合は早めに専門医に相談するようにしましょう。