水疱瘡(みずぼうそう)にかかると、全身に赤い発疹と水ぶくれ(水疱)が現れ、多くの場合、強いかゆみを伴います。このつらいかゆみは、一体どのようなメカニズムで起こるのでしょうか。水疱瘡は、水痘・帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスの一種に初めて感染することで発症します。このウイルスが皮膚の細胞に感染すると、炎症反応が引き起こされます。炎症が起こると、その部位でヒスタミンやプロスタグランジンといった様々な化学伝達物質が放出されます。これらの物質は、皮膚にあるかゆみを感じる神経(知覚神経)の末端を刺激し、その刺激が脳に伝わることで「かゆみ」として認識されるのです。特に、ヒスタミンはかゆみを引き起こす代表的な物質であり、水疱瘡の発疹部位ではヒスタミンの放出が活発になっていると考えられています。また、水疱が形成される過程で、皮膚の表皮と真皮の間が剥がれ、そこにリンパ液などが溜まります。この水疱が破れると、中の液体が周囲の皮膚に広がり、それが新たな刺激となってかゆみを増強させることもあります。さらに、皮膚の乾燥もかゆみを悪化させる要因の一つです。水疱瘡の時は、発熱を伴うことも多く、体内の水分が失われやすくなっています。皮膚が乾燥すると、外部からの刺激に敏感になり、かゆみを感じやすくなります。精神的な要因も無視できません。かゆみは、気にすればするほど強く感じる傾向があります。特に子どもは、かゆみを我慢することが難しく、掻きむしってしまうことで皮膚に傷ができ、そこから二次的な細菌感染を起こしてさらにかゆみが悪化するという悪循環に陥りやすいです。このように、水疱瘡のかゆみは、ウイルスの直接的な作用、炎症反応、化学伝達物質の放出、皮膚の乾燥、精神的な要因などが複雑に絡み合って発生すると考えられています。
水疱瘡のかゆみはなぜ?そのメカニズム