脇汗が多いと感じていても、それが単に「汗っかき」なのか、それとも治療が必要な「多汗症」なのか、自分では判断が難しいことがあります。多汗症とは、体温調節に必要な量以上の汗が、明らかな原因がないにもかかわらず過剰に出る状態を指します。脇の下の多汗症は「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」と呼ばれます。多汗症かどうかを見分けるためのいくつかのポイントがあります。まず、汗の量です。日常生活において、衣服に大きな汗ジミができたり、汗が滴り落ちたりするほど大量の汗をかく場合は、多汗症の可能性があります。特に、暑いわけでもなく、運動をしているわけでもないのに、安静時にも脇汗が多い場合は注意が必要です。次に、汗をかく頻度や持続時間です。一時的に緊張して汗をかくのは誰にでもありますが、多汗症の場合は、特定の状況に関わらず、長時間にわたって過剰な発汗が続くことがあります。また、日常生活への支障の程度も重要な判断基準です。脇汗が気になって人前に出るのが億劫になったり、好きな色の服が着られなかったり、仕事や勉強に集中できなかったりするなど、精神的な苦痛を感じたり、社会生活に影響が出ている場合は、医療機関への相談を検討すべきサインと言えるでしょう。多汗症の診断基準としては、日本皮膚科学会が作成したガイドラインなどがあり、医師はこれらの基準や問診、視診などを通じて総合的に判断します。例えば、「最初に症状が出たのが25歳以下である」「左右対称性に発汗が見られる」「睡眠中は発汗が止まっている」「週に1回以上、過剰な発汗がある」「家族に同様の症状の人がいる」「日常生活に支障をきたすほどの多汗である」といった項目のうち、いくつ当てはまるかなどが参考にされます。もし、自分の脇汗の量が異常に多いと感じたり、日常生活で困っていたりするならば、自己判断せずに皮膚科や美容皮膚科などの専門医に相談してみましょう。適切な診断と治療を受けることで、悩みが軽減される可能性があります。
多汗症かも?脇汗が多い時の見分け方