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胃腸炎と間違えやすい他の病気と関連診療科
嘔吐や下痢、腹痛といった症状は、胃腸炎で最もよく見られるものですが、実は他の様々な病気の初期症状として現れることもあります。単なる胃腸炎だと思い込んでいると、重大な病気の見逃しに繋がる可能性もあるため、注意が必要です。まず、突然の激しい腹痛で始まり、嘔吐を伴う場合は、「虫垂炎(盲腸)」の可能性があります。虫垂炎の痛みは、最初はみぞおちのあたりから始まり、徐々に右下腹部へと移動していくのが特徴的です。発熱を伴うことも多く、診断と治療は「外科」または「消化器外科」が専門となります。放置すると腹膜炎を起こす危険があるため、早期の診断が重要です。また、腹痛と共に便秘が続き、お腹が張って嘔吐する場合、腸の内容物が流れなくなる「腸閉塞(イレウス)」も考えられます。これも外科的な緊急疾患です。女性の場合、下腹部痛と吐き気がある時は、婦人科系の病気も鑑別にあがります。例えば、「卵巣嚢腫の茎捻転」は、卵巣がねじれて血流が途絶えることで、突然の激しい下腹部痛と嘔吐を引き起こします。また、「子宮外妊娠の破裂」も、同様の症状とともに出血性ショックを起こす可能性のある緊急疾患です。これらの場合は、「婦人科」での迅速な対応が必要です。さらに、背中から脇腹にかけての激痛が突然現れ、吐き気を伴い、血尿が出る場合は、腎臓から尿管に石が詰まる「尿路結石」が疑われます。この場合は「泌尿器科」が専門となります。心臓の病気である「心筋梗塞」も、胸の痛みだけでなく、みぞおちの痛みや吐き気として発症することがあり、特に高齢者や糖尿病患者では注意が必要です。この場合は「循環器内科」への受診が必須です。このように、胃腸炎様の症状は、全身の様々な臓器からのSOSサインである可能性があります。痛みの場所や性質、他にどのような症状があるかを注意深く観察し、典型的な胃腸炎とは少し違うと感じたら、迷わず医療機関に相談し、適切な科での診察を受けることが大切です。