医療
-
突然の嘔吐と下痢、胃腸炎を疑ったらまず何科を受診すべきか
ある日突然、激しい吐き気や嘔吐、そして水のような下痢に襲われる。多くの人が一度は経験するであろうこの辛い症状は、「感染性胃腸炎」の典型的なサインです。胃腸炎は、ウイルスや細菌などが消化管に感染することで引き起こされ、腹痛や発熱を伴うことも少なくありません。特に、冬場にはノロウイルスやロタウイルス、夏場には細菌性の食中毒が流行し、時に集団発生することもあります。このような症状に見舞われた時、多くの人が「何科を受見すれば良いのだろうか?」と迷うことでしょう。結論から言うと、胃腸炎の診断と治療において中心となる診療科は、大人の場合は「内科」または「消化器内科」、子どもの場合はかかりつけの「小児科」です。一般的な内科でも胃腸炎の初期対応は十分に可能ですが、腹痛が非常に強い、血便が出るといった症状がある場合や、症状が長引く場合には、胃や腸の病気を専門とする消化器内科を受診するのがより望ましい選択です。消化器内科医は、単なる感染性胃腸炎だけでなく、潰瘍性大腸炎やクローン病といった他の消化器疾患との鑑別にも精通しています。一方、乳幼児や学童期の子どもの場合は、まず小児科を受診することが基本です。子どもは大人に比べて脱水症状に陥りやすく、重症化するスピードも速いため、子どもの体調管理に慣れた小児科医による迅速な判断とケアが不可欠です。胃腸炎はありふれた病気ですが、原因となる病原体の種類や患者さんの状態によっては、重篤な合併症を引き起こすこともあります。特に、脱水症状は命に関わることもあるため、適切な診療科を選び、早期に医療機関を受診することが、安全かつ迅速な回復への第一歩となります。