夜十分に寝ているはずなのに日中に耐え難いほどの強い眠気に襲われる。会議中や運転中に一瞬意識が飛んでしまうことがある。家族から「いびきがうるさい」「寝ている時に息が止まっているよ」と指摘されたことがある。このような症状に心当たりがある場合、あなたの不眠の原因は単なる寝付きの悪さではなく「睡眠時無呼吸症候群」かもしれません。睡眠時無呼吸症候群はその名の通り睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりすることを繰り返す病気です。最も多いのは喉の奥にある上気道が肥満や扁桃腺の肥大、あるいは顎の骨格などによって物理的に狭くなり塞がってしまうことで起こる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」です。呼吸が止まると体内の酸素濃度が低下するため脳は危険を察知し体を覚醒させて呼吸を再開させようとします。この「無呼吸→脳の覚醒」というプロセスが一晩に何十回、多い人では何百回と繰り返されるのです。本人は夜中に何度も目が覚めているという自覚はほとんどありません。しかし脳と体は全く休息を取ることができていないため深い睡眠が極端に少なくなり睡眠の質は著しく低下します。これが熟眠障害や日中の強烈な眠気の直接的な原因となるのです。そしてこの病気の本当に怖いところは単なる睡眠不足の問題に留まらない点にあります。睡眠中に低酸素状態が繰り返されることは心臓や血管に大きな負担をかけ、高血圧や不整脈、心筋梗塞、脳卒中といった生命に関わる深刻な生活習慣病を引き起こすあるいは悪化させる強力なリスク因子となるのです。もし いびきや日中の眠気といった特徴的な症状に気づいたら、相談すべき診療科は「呼吸器内科」や「耳鼻咽喉科」、あるいは「睡眠外来」などの専門医療機関です。自宅で簡易的な検査機器を装着して睡眠中の呼吸状態を調べる検査や、病院に一泊して行う精密検査によって診断が確定します。治療法には鼻に装着したマスクから空気を送り込み気道を広げる方法などがあり劇的な改善が期待できます。
その不眠、もしかしたら睡眠時無呼吸かも