子どもの顔に湿疹もしかして溶連菌?
子どもの顔に赤いブツブツとした湿疹が現れると、親としては心配になるものです。様々な原因が考えられますが、その一つとして「溶連菌感染症」の可能性も頭に入れておく必要があります。溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌という細菌によって引き起こされる感染症で、主に喉の痛みや発熱といった症状が代表的ですが、特徴的な皮膚症状として顔や体に発疹が出ることがあります。この発疹は、一般的に「猩紅熱(しょうこうねつ)様発疹」と呼ばれ、細かく赤い点状の発疹が、首や胸、脇の下、股などから始まり、全身に広がることがあります。顔にも現れることがあり、特に頬がリンゴのように赤くなり、口の周りだけが白く抜けて見える「口囲蒼白(こういそうはく)」が特徴的な所見とされることもあります。ただし、全ての溶連菌感染症で顔に湿疹が出るわけではありませんし、顔の湿疹が必ずしも溶連菌感染症を意味するわけでもありません。アトピー性皮膚炎やあせも、食物アレルギー、虫刺され、あるいは他のウイルス感染症(例えば、りんご病や手足口病など)でも、顔に湿疹が現れることがあります。そのため、自己判断は禁物です。もし、子どもの顔に湿疹が見られ、特に発熱や喉の痛み、舌がイチゴのようにブツブツになる「イチゴ舌」といった他の症状を伴う場合は、速やかに小児科を受診することが大切です。医師は、喉の診察や迅速検査(溶連菌の抗原を調べる検査)などを行い、溶連菌感染症かどうかを診断します。溶連菌感染症と診断された場合は、抗菌薬による適切な治療が必要となります。治療を怠ると、急性糸球体腎炎やリウマチ熱といった重大な合併症を引き起こす可能性もあるため、医師の指示通りに最後まで薬を飲みきることが非常に重要です。