水疱瘡が治った後に気になるのが、「跡が残らないか」ということです。特に顔や目立つ部分に発疹ができた場合、その心配は大きいでしょう。水疱瘡の跡をできるだけ残さないためには、かゆみに対する適切なケアが非常に重要になります。水疱瘡の跡が残る主な原因は、掻き壊しによる皮膚の深い部分へのダメージと、二次的な細菌感染による炎症の悪化です。かゆみに負けて強く掻きむしってしまうと、水疱が破れるだけでなく、その下の真皮層まで傷つけてしまうことがあります。真皮層までダメージが及ぶと、クレーターのような凹んだ跡や、盛り上がったケロイド状の跡が残りやすくなります。また、掻き壊した傷口から黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入し、化膿してしまう(二次感染)と、炎症がひどくなり、治癒が遅れるだけでなく、色素沈着や瘢痕(はんこん)が残りやすくなります。したがって、跡を残さないための最も重要なポイントは、「掻かないこと」「掻き壊さないこと」です。そのためには、前述のようなかゆみ対策(爪を短く切る、患部を冷やす、適切な衣類を選ぶ、かゆみ止めを使用するなど)を徹底することが不可欠です。特に、水疱が破れたり、かさぶたができ始めたりする時期は、かゆみが再燃しやすいので注意が必要です。かさぶたは、自然に剥がれ落ちるのを待つのが基本です。無理に剥がすと、下の新しい皮膚を傷つけ、跡が残りやすくなります。また、治癒過程での紫外線対策も重要です。発疹が治まった後の皮膚はデリケートで、紫外線によって色素沈着が起こりやすくなっています。外出時には、日焼け止めを塗ったり、帽子や衣類で患部を保護したりするなど、紫外線対策をしっかりと行いましょう。もし、掻き壊してしまったり、赤みや腫れ、膿が出るなど二次感染が疑われる症状が見られたりした場合は、速やかに医師の診察を受け、適切な処置をしてもらうことが大切です。早期の対応が、跡を最小限に抑えることに繋がります。