体を強くぶつけた際、それが単なる打撲なのか、それとも骨折を伴っているのか、自分ではなかなか判断がつかないことがあります。しかし、骨折の場合は適切な固定や治療が必要となるため、見分けるためのいくつかのポイントを知っておくことは重要です。まず、痛みの強さと持続時間です。打撲でも強い痛みはありますが、骨折の場合は、安静にしていても激しい痛みが続くことが多く、打撲した部分を少し動かしただけでも耐え難いほどの痛み(運動時痛)や、体重をかけると激痛が走る(荷重時痛)といった特徴があります。また、時間の経過とともに痛みが軽減していく打撲に対し、骨折では痛みがなかなか引かない、あるいはむしろ悪化する傾向が見られることがあります。次に、腫れと内出血の程度です。打撲でも腫れや内出血は起こりますが、骨折を伴う場合は、より広範囲に、かつ急速に腫れが進行し、内出血も広がりやすい傾向があります。特に、関節周囲の骨折では、関節内に血液が溜まり、パンパンに腫れ上がることもあります。そして、変形や異常な動き(異常可動性)の有無も重要なポイントです。骨折している場合、打撲した部分が明らかに不自然な形に変形していたり、普段は動かないはずの方向にグラグラと動いたり(異常可動性)、骨がきしむような音(軋轢音:あつれきおん)がしたりすることがあります。これらは骨折を強く疑うサインです。また、打撲した手足の感覚が鈍くなったり、指先が冷たくなったり、しびれたりといった神経や血管の損傷を疑う症状が見られる場合も、重篤な骨折の可能性があります。ただし、これらの症状が全て現れるわけではありませんし、特にひび(不全骨折)の場合などは、症状が軽微で打撲と区別がつきにくいこともあります。自己判断は危険ですので、少しでも骨折の疑いがある場合や、痛みが強い、腫れがひどいといった場合は、速やかに整形外科を受診し、レントゲン検査などで正確な診断を受けるようにしましょう。