一日のトイレの回数が極端に少ない状態も、体の異常を示すサインである可能性があります。排尿量が著しく減少することを「乏尿(ぼうにょう)」、全く尿が出ない状態を「無尿(むにょう)」と呼びます。一般的に、一日の尿量が400ml以下の場合を乏尿、100ml以下の場合を無尿と定義されることが多いですが、普段のトイレの回数と比べて明らかに少ないと感じる場合は注意が必要です。トイレの回数が少ない原因として、まず考えられるのは水分摂取量の不足です。特に夏場や運動時など、汗を多くかく状況で水分補給が不十分だと、体内の水分が不足し、尿量が減少します。これは生理的な反応ですが、長期間続くと脱水症状を引き起こす可能性があるため、こまめな水分補給が大切です。しかし、十分に水分を摂っているにもかかわらずトイレの回数が少ない場合は、何らかの病気が原因である可能性を考えなければなりません。腎臓は、血液をろ過して尿を作り、体内の老廃物や余分な水分を排出する重要な役割を担っています。そのため、腎臓の機能が低下する急性腎不全や慢性腎不全では、尿量が減少し、乏尿や無尿に至ることがあります。また、尿路(腎臓から尿道までの尿の通り道)に結石や腫瘍などができて詰まってしまう尿路閉塞も、尿が出にくくなる原因となります。重度の心不全や肝不全、あるいはショック状態など、全身の循環血液量が低下するような病態でも、腎臓への血流が悪くなり、尿量が減少することがあります。その他、特定の薬剤の副作用として尿量が減ることもあります。乏尿や無尿の状態が続くと、体内に老廃物や余分な水分が蓄積し、むくみ、高血圧、電解質異常、尿毒症といった深刻な状態を引き起こす可能性があります。特に、急に尿量が減った場合や、全く尿が出ない場合は、緊急性の高い状態である可能性があるため、速やかに医療機関を受診する必要があります。