打撲をしてから数週間経っても痛みが引かない、あるいは一度治まったと思った痛みが再びぶり返してきた場合、何か別の問題が隠れているのではないかと不安になることでしょう。通常、軽度の打撲であれば、数日から数週間で痛みや腫れは改善していきますが、長引く痛みにはいくつかの原因が考えられます。まず、見逃された骨折やひび(不全骨折)の可能性があります。特に、打撲直後のレントゲン検査では分かりにくかった微細な骨折が、後になって明らかになることがあります。また、軟骨損傷や靭帯損傷、腱損傷といった軟部組織の損傷が治癒していない場合も、痛みが長引く原因となります。これらの損傷は、レントゲン検査だけでは診断が難しく、MRI検査などの精密検査が必要になることがあります。次に、コンパートメント症候群の可能性も考慮しなければなりません。これは、打撲によって筋肉内の圧力が上昇し、血行が悪くなることで、筋肉や神経が障害される病気です。強い痛みや腫れ、しびれなどが特徴で、放置すると重篤な後遺症を残すことがあるため、早期の診断と治療が重要です。また、骨化性筋炎という、筋肉内に骨のような硬い組織ができてしまう状態も、打撲後に起こることがあります。これにより、関節の動きが悪くなったり、痛みが続いたりします。稀ではありますが、血腫(血液の塊)が吸収されずに残り、慢性的な炎症や痛みの原因となることもあります。さらに、痛みが長引くことで、CRPS(複合性局所疼痛症候群)という、原因不明の慢性的な痛みが起こることもあります。これは、神経の過敏性が高まり、わずかな刺激でも強い痛みを感じるようになる状態です。これらのように、打撲後の痛みが長引く原因は様々です。もし、二週間以上痛みが続く、痛みが悪化する、しびれや感覚異常がある、関節の動きが悪いといった症状があれば、自己判断せずに整形外科を受診しましょう。医師は、再度詳しい診察や検査を行い、長引く痛みの原因を特定し、適切な治療法を提案してくれます。