頭を強くぶつけてしまった場合、それが単なる「たんこぶ」で済むこともあれば、頭蓋骨や脳に深刻なダメージが及んでいることもあり、注意が必要です。頭部打撲で特に警戒すべきは、頭蓋内出血(脳出血、くも膜下出血、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫など)や脳挫傷といった重篤な脳損傷です。これらの場合、速やかに適切な処置を行わないと、後遺症が残ったり、命に関わったりする危険性があります。では、どのような場合に脳神経外科を受診すべきなのでしょうか。まず、打撲直後から意識がない、あるいは意識が朦朧としている場合は、緊急性が非常に高い状態です。直ちに救急車を呼び、脳神経外科のある医療機関へ搬送する必要があります。また、一度は意識がはっきりしていたのに、徐々に意識レベルが低下してきた場合も同様です。次に、けいれん発作が起きた場合も危険なサインです。その他、以下のような症状が見られたら、脳神経外科を受診しましょう。激しい頭痛が続く、あるいは徐々に悪化する。吐き気や嘔吐を繰り返す。手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見えるといった神経症状が現れた。記憶が曖昧になったり、同じことを何度も尋ねたりする(記憶障害)。鼻や耳から透明な液体(脳脊髄液)や血液が出てきた。瞳孔の大きさに左右差がある。これらの症状は、受傷直後だけでなく、数時間から数日経ってから現れることもあるため、頭部打撲後はしばらく安静にし、注意深く様子を観察することが重要です。特に、乳幼児や高齢者は、症状をうまく訴えられなかったり、症状の現れ方が非典型的だったりすることがあるため、周囲の人が気をつけて見てあげる必要があります。たとえ打撲直後に目立った症状がなくても、高いところから転落した場合や、交通事故などで頭部に強い衝撃を受けた場合は、念のため脳神経外科を受診し、CT検査などで異常がないかを確認してもらうのが賢明です。自己判断はせず、少しでも心配な点があれば専門医に相談しましょう。